皮膚の細菌叢を育てる!
こんにちは。九州から関東甲信地方が梅雨に入りましたね。梅雨の時期は、湿気や温度の不安定さから自律神経が乱れやすく、ひいては肌のトラブルも起こりがち。いつものスキンケアグッズで刺激を感じたら、要注意です。
ところで、皮膚の細菌叢って聞いたことありますか? 腸の細菌叢(腸内フローラ)は、有名ですね。腸内には多種多様な細菌がすみついていて、種類ごとにまとまりをつくって生息しているさまが、まるでお花畑のようだというので、腸内フローラと呼ばれているというものです。じつは、肌にも善玉菌である表皮ブドウ球菌をはじめ、多様な細菌が共生していて、外からの病原体の侵入を防いだり、皮膚の免疫力を活性化するといった働きをしています。
最近では、その皮膚の細菌叢のバランスが乱れて、特定の細菌が増えてしまうことで、ニキビや肌荒れ、アトピー性皮膚炎が引き起こされるということもわかってきました。それなら、悪い菌だけ殺菌すれば皮膚の状態がよくなるのでは?と考えたくなりますが、いやいや、細菌たちはそんなカンタンにいなくなりはしないのです。悪い菌が増えるということは、皮膚の環境が悪化しているため。そこで悪い菌を一時的に減らしたとしても、汗腺などに隠れていた菌が皮膚に出てきたとたんに、みるみる増殖してすぐに元に戻ってしまうのだそう。そのうえ、アトピー性皮膚炎を引き起こしているのではと考えられている細菌の場合は、バイオフィルムというバリアを形成して、除菌されないように自らを守っているそうですから、細菌恐るべし、です。
では、皮膚の細菌叢の健康を保つためには、どうしたらいいのでしょうか?
1.紫外線を防ぐ
皮膚の細菌叢のバランスは、紫外線を浴びることで発生する活性酸素に影響されやすいそうです。日傘や帽子などで、紫外線を予防しましょう。
2.いい汗をかく
皮膚の細菌叢の善玉菌である「表皮ブドウ球菌」は、さらさらっとしたいい汗と皮脂をえさに増殖します。毎日運動や入浴で、さらさらの汗をかくようにしましょう。
3.洗いすぎない
水やお湯だけで洗う日をつくるのも有効という説もありますが、皮脂で汗腺がふさがってでしまうと、細菌感染を起こす心配もあるので、肌の様子を見ながら行うことが大事です。ただ、洗浄力の強い洗浄剤で、毎日ゴシゴシ洗うのは、皮膚の表面のバリアを傷つけるのはもちろん、細菌叢にも影響が。やさしい洗浄剤でやさしく洗いましょう。
4.消毒・殺菌・抗菌剤に注意
消毒・殺菌・抗菌をうたった塗布剤は、ばい菌を殺すと同時に皮膚の常在菌も殺してしまいます。もっとも、人体には元の状態に戻そうという力があるので、一時的にバランスが乱れても、皮膚状態がよければすぐ元に戻ります。ただ皮膚の状態が悪いときに、さらに細菌叢の状態を悪化させてしまうと、さらに症状を悪化させる心配もあるので、むやみに使わないほうがいいでしょう。
ほかにも、厚化粧や肌の乾燥、ストレス、体の冷えなどは皮膚の細菌叢を乱す原因に。また、睡眠を十分とる、栄養バランスのいい食事をとるなど、体調をよくすることは、皮膚の細菌叢にも有効だそうです。
「腸内細菌の健康のためには、乳酸菌やビフィズス菌を含む食品を」というように、肌の細菌叢に有効に働きかけることができる成分が明らかになったら、美容業界に革命が起こるかも!? 近い将来が楽しみですね。
(H&B編集部 S)
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